Thursday, December 09, 2004

大学病院の、年内の診療・手術がすべて終わった。このあと4週間、年末年始をはさんで休診となる。だからといって、仕事があるから長いクリスマスバケーションというわけではなく、来週は腫瘍科OBをまじえての勉強会やら認定医試験対策やらがあるし、その次の週はどうしても診察が必要な犬猫のためにボランティア診療と呼ばれる日もある。何よりも、この年末年始は仕事しながらとにかく勉強をしなくてはいけないのだ。
この1年は早かった。昨年の秋、腫瘍科の見学にきて、学生時代は成績優秀ではまったくなかった私でも本気で頑張ればついていけるかもしれないと、研修願書を提出した。研修医になるには、研修費も納めなくてはいけないし、仕事をする時間も減るため収入も減ってしまう。家にいる時間も相当減ってしまう。それでも、今勉強しなければ、あとになって大学で勉強する時間はないだろうと、いろんな覚悟を決めての願書提出であった。
収入減るのは、やっぱりちょっと痛いなあ・・そう思っていたら、何故か、分院長ポストが2件、副院長ポストが1件、オファーがあった。どの話も、私の身に余るお話ばかりだった。特に、大学時代の研究室の恩師が西東京市に作られた動物病院の、分院長のお話は、お金の話なんかそっちのけで本当に名誉なことだと感激したものだ。長年、たとえパートタイムであろうと時給1000円であろうと、つらいことがあっても地道に獣医師を続けていたことへの、神様からのごほうびかと思った。その病院自体、就職することが大変難しいといわれているところの、分院長である。
もうひとつの分院長ポストは現在週3回勤務している病院である。分院をオープンして以来、毎年分院長が変わるので、今後は経営も任せられるキャリアのある人材を探しているとのことだった。何度かスペシャリスト向けのセミナーでお会いした鶴見の比較的大きな病院の院長先生が、私の獣医力(正しい単語ではないが)をご存知ではないのにお話が舞い込んできた。年収はそれまでの軽く2倍になるくらいを提示されてきた。
しかし、結局、どのお話も「大学の腫瘍科で勉強するので」とお断りした。大学時代の恩師は「もう少しおうちが近かったらアルバイトにきて欲しいんだけど」とまで言って下さった。(うれしくて涙出そう)もうひとつの病院は結局院長先生に押し切られるように、アルバイトに行くことになった。いろいろ制約の多い病院であったが、なぜか私は制約の外側のようで、比較的自由にやらせていただいている。収入倍増のチャンスではあったが、タイミングが悪いというのは自分にとって最良のタイミングではないから結果に結びつかないということだろう。
そして、4月から、周りよりも少し年上の腫瘍科研修医となって、忙しい毎日である。生まれて初めての学会発表もしたし、英語の文献も今までで一番たくさん読んでいる。すごい手術もたくさんみたし、自分自身、手術にかかわるスタッフとしてちょっとは成長したと思う。この間数えてみたら大小合わせて130件の手術がこれまで行われていた。腫瘍の手術ばかりこの8ヶ月で130だ。ものすごく濃い、と思う。覚悟を決めて研修願書を提出してよかった。多分、昨年の自分よりも伸び率は異常に大きいのではないだろうか?周囲の理解と協力もあって、充実した時間だった。
ついこの間、来年度の研修の意向のアンケートがとられたので来年度も継続するとこたえた。来年も、多分同じ病院でアルバイトをしながらの研修医生活だ。この充実した1年の余韻のなかで、この1年を後悔なく締めくくれるように、あと少し、がんばろう。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home