Monday, May 08, 2006

さよなら、ハチちゃん

ハチちゃんが亡くなった。昨日の夜までお散歩に行き、ご飯も食べていたのだが夜中に急変し、今日お昼前に亡くなったと電話をいただいた。明日は抗ガン剤を投与する予定でもあった。残された時間を考え、副作用よりも腫瘍抑制を第一に考え、できるだけ残された時間を長くする作戦を練っていたところだった。ガン細胞は私にその時間すら与えず、一瞬でハチちゃんを連れ去ってしまった。
今後のこと、つまりハチちゃんの体をどうするか、という話は、午後にでももう一度電話をください、と伝えた。お別れの時間や、冷静さを取り戻す時間を、少しでも家族に作ってあげたかった。
半年前のハチちゃんの誕生日には、ハチちゃんの姿をかたどったデコレーションケーキを病院にいただいた。飾られたプレートには「幸せをありがとう ハチ」とメッセージが書かれていた。ほんの、半年前だ。今日は愛川町にいて、伺うことが出来ない。明日、お花を持ってご挨拶に行こうと思う。

自分の診ている動物が亡くなるのは、やっぱりこたえる。いつかは死んでいくものだとわかっていても、つらい。死ぬことがつらいのではなく、その不在の悲しみがつらい。
さらに、そんな時でも泣くことができなくてつらい。次の瞬間には他の犬の問診を取り、考え処置を施さなくてはいけない。泣きたくてもへこんでても、平常心を装わなくてはいけない。自分の事だけでなく、ほかの症例もちらりと考え、スタッフに指示を出したり薬の量を計算したり、いつもどおり動かなくてはいけない。
やっぱりショック。こんなに治療が追いつかない腫瘍が、よりによってハチちゃんにだもの。
私が初めて会った頃のハチちゃんは今よりも体重が1.3倍あって、食事の内容を聞いたら本当においしそうで、グルメのハチちゃんで、でもそれでは健康によくないですよと、食事の内容をかえてもらい8ヶ月で10㎏もの減量に成功した。そうしたら、お散歩の足取りがすごく軽くなって、お友達に「ハチちゃん若返ったね」と言われると、お母さんが嬉しそうに話をしてくれた。じゃあ今度は歯石を取りましょうといって歯が真っ白になったら「新庄さん」と呼んでいるといっていた。歯石を取るのに麻酔をかけたら、のどの奥に腫瘤が見つかって、びっくりして大学で手術をしたらそれは良性で、定期的に血液検査や尿検査をして、ものすごく数値もよくて、体の中まで若返ったみたいと、私もお母さんも喜んでいた矢先、今年のお正月もあけたばかりのときに、顔が腫れたみたいと受診してその悪性腫瘍は見つかった。
全力を尽くして、大学の診療に予約を入れ次の週には、日本一の獣医腫瘍外科医に手術をしてもらい日本の獣医診療設備ではまだ3ヶ所にしか導入されていない放射線装置で放射線まであててもらった。傷が癒えたら次は抗ガン剤、本当に出来る限りのことはすべてやった。それでも、ハチちゃんは、旅だっていってしまった。ごめん、ハチちゃん。あんまり役に立てなかったかも。明日、ベルピで会おうねって約束してたのに、1日早いよ。

心残りは、旅立つ前にハチちゃんにおいしいものを食べさせてあげられなかったこと。昨日までふつうにご飯を食べていた、ということは「ひびせんせいのご飯」とお母さんいうところの処方食しか食べてないはずだ。私と出会ってから、健康のために減量を指示されて、大好きだったジャンボシュークリームもずっとお預けだった。おいしいものは、全部お預けになってしまった。ごめんね、ハチちゃん。明日、お花と一緒に届けるね。すまん・・・。

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