Thursday, April 27, 2006

水曜深夜、木曜未明

獣医師に限らず医師もそうであろうが、自分の患者がこのあとどういう転帰をたどるかを知っているというのは、時に苦しみをもたらす。病気だけを見たり、3分間だけの診療をしているドクターにはおそらくこの苦しみは無縁だと思うが、何度も診察をしているうちに飼い主との距離が縮まり、その分心の機微みたいなものが伝わってくることもある。この子に残された時間と、飼い主の気持ち。深入りしてしまうと苦いものがこみ上げてくることもしばしばある。でも、深入りせずにはいられない。飼い主にとって頼れるものは他に無いから。
別れはいつかやってくる。私にできるのは、その最後の1日まで、できるだけ苦痛を取り除き幸せな時間を少しでも長くしてあげること。獣医師は万能じゃない。魔法使いでもない。意外と無力なものだと常々思う。だからこそ、できることを精一杯するだけだ。今日もがんばろう。

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