Monday, March 19, 2007

パワーアップの先にあるもの

掲示板に、バンコク行きますと書いたその日のうちに、NORAママさんからメールが届いた。レス早いですねー。びっくりしました。
バンコクは久しぶり、で、気づいたら助手のパスポートの期限が確か今年の5月だったはず。入国時6ヶ月以上の余裕がなくちゃいけないから、写真を撮らせて自筆でサインさせて、新しいパスポートを申請した。この間のときは、まだまともな日本語が書けなかったから私がサインして下に(by Mother)と書き入れた。もう帰国してから5年、たつんだなあ。

でも、5年分、年もとったけどパワーもアップしていますよー。次々と押し寄せる腫瘍症例に、がっつり立ち向かっています。というか、なんでこの病院、腫瘍症例が多いのだろう???しかも、手術して「治りましたねー」なんていうのが、ほとんどない。私が辞めたあと、誰がこんなヘビーな症例につきあえるのか、すごく心配。なぜなら、教科書には本当に必要なことが書いてないから。ただの解説書でしかなくて、トラブルシューティングがない。腫瘍症例は教科書どおりになるとは限らない。治療はその進行度に応じて治療目的や治療方法が変わるので、まずはその進行度を見極めなければならない。

ちなみに、そんなこと、大学では学んだことがなかった。私が学生のとき、犬や猫に関する講義は5年生の土曜日の午後に、しかも選択授業としてあるだけで、あとは基礎的なことと産業動物のこと、そして公衆衛生などに関することが主体で、少なくとも国家試験に合格して大学を卒業したその日から、診察ができるような教育はされてきていない。
日本に16しかない獣医学部での教育が、15年前と比べてそれほど大きく変わったとは思わない。5年生の実習で、大学附属動物病院に学生がゾロゾロくるけれど、本当に目標や進路がしっかりしていて勉強している学生は多くない。みんな何となく臨床(いわゆる町のお医者さんとか)になろうかな、という程度なので、目の前で繰り広げられている大学における高度医療や二次診療の現場についてこられない。ああ、もったいない。無駄ムダ。頑張れ、獣医学生。
国家試験に合格して晴れて獣医師となっても、現場で己の無力さにうちひしがれる若い人も多いと思う。試験で点が取れたって、どんなに知識があったって、現場で動けて飼い主さんと話ができなければ臨床獣医師としては、優秀ではないから。
そういう現場教育や、犬猫に関する臨床教育が十分でないからこそ、先日のブログに書いたレクチャーが必要なのだと、強く思う。そして、そういう若い獣医師を育てる環境としての、動物病院が不可欠であることも、付け加えたい。
それなのに、若手獣医師を安価な労働力扱いする院長も少なくない。困った問題だが、今の私にはどうすることもできない。

自分ひとりでたくさんの症例を診る事もできないし、ヤブ獣医のせいで末期になってから転医してくる子達をみるのもつらい。いつまでも、この病院で働くこともできない。それなら、いいこと思いついた。
私が知っていることを、若い人たちに教えてあげればいいんじゃん!!ただ・・・獣医腫瘍認定医とはいっても、2種というのは序の口で、実は1種という格上があるので、そんなに堂々と大々的にセミナーをするほどのもんではありません。世の中、やはり私の恩師であるI先生や、腫瘍科のS先生、後輩で米国腫瘍内科専門医のK先生と比べると、まったく私などは未熟も甚だしいわけで・・・。でもでも。
ここでひるんではいけない。せめて、私が大学病院で学んだことだけでも若い先生方に教えてあげれば、彼らの知識や臨床力が少しあがるはず、なんだから。
これをでしゃばりだとかおせっかいだとか、言う人がいても構わない。それを望む人がいるなら、それはでしゃばりではないから。例え2種認定であっても、少しでも役に立てることがあるなら、いいじゃん。

もしこのブログを読んでいる獣医師の先生で、興味のある方はどうぞお気軽にご連絡ください。アドレスはHPの相談メールからリンクしてます。また、動物看護士の方も歓迎しますが、ちょっと難しいかもしれません。一般の方には難解な部分が多いです。
とか書いて、何のレスもないかもしれないけど。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home