Sunday, July 24, 2005

検疫制度・補足

そもそも、どうして私が新しい検疫制度について、農林水産省に問い合わせるのかというと、国内での狂犬病予防法と内容が異なっているからである。国内で接種した場合、狂犬病ワクチンは生後91日以上の犬に対して年1回接種し、保健所等管轄の役所に届け出ることが義務付けられている。
しかし、検疫制度では1)2回以上の狂犬病ワクチン接種歴(30日以上の間隔があいていること)2)中和抗体価を測定し採血から180日間の待機期間を経てからでなければ入国できないこと、などとなっている。だから、狂犬病ワクチンを接種したことのない犬、たとえば仔犬などではいつでも帰国できるようにするには、初回接種の30日以上あとに追加接種を行い、それから採血をして中和抗体を測定し180日間は日本に帰ってこられない。要するに、仔犬の愛らしい時期に日本の土を踏むことは不可能なのだ。
ワクチンを2回以上接種することのメリットは、追加接種をすることによってさらに体内での免疫力が増強されること、すなわち、抗体価がさらに高くなり感染防御に有利になることだ。狂犬病がまだ存在する国に暮らしていて、2回以上の接種を行っているということは、しっかりと予防措置をしているということになる。たいていすでに成犬になっている場合、わざわざそんな短期間で追加接種をうたなくとも、すでに毎年の接種で十分な免疫力を獲得していると考えられるが、仔犬の場合はまだ不十分なので、そこを補うためにできた項目なのだろう、と私は予測する。
が、日本ではそんな接種のしかたをしないので、日本の獣医師から見たら「?」なのも事実である。タイの動物病院で6ヵ月後に追加接種をした、という話を聞いたことはあるが、日本ではそんなこともしない。
もちろん、中和抗体を測ることもほとんどない。というか、つい最近、日本入国のための中和抗体を測定するラボが国内でも指定されたばかりなうえ、そのラボは国内の一般的な獣医師が利用している商業ラボではないので、名前を聞いたのは初めてであった。つまり、最近まで一般の獣医師が利用できる商業検査施設では、狂犬病の中和抗体を測定することができないのだ。
そこまでするのは、日本国内に絶対に狂犬病を持ち込ませないという、表れでもあるのだろうが、じゃあ国内はどうなのさ?180日の待機期間は何なのさ?
さらに根本的な問題は、日本の狂犬病予防法の対象が犬に限られていることである。狂犬病が哺乳類すべてに対して感染可能で発症すれば100%死亡するということは、大学で学んだ。獣医師国家試験の外せないヤマでもある。それなのに、現場では犬にしか注射していないというのはどういうこと?猫は?フェレットは?しかし、海外からの入国には猫でも狂犬病ワクチンを接種している。そういうところに疑問をもってしまうわけだ。
検疫制度に理解を示してしまうと、国内の狂犬病予防法に首をかしげざるを得ない。国内の実情から見ると、検疫制度も飼い主の立場からでは難解なものだろう。そして、自分が理解できないものを、ただ上から言われたとおり説明すればいいやと思えないあたりは、多分私も石頭だからなんだろう。
納得するって難しい。

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