Tuesday, January 11, 2005

テンションあげて

日本では3連休だった週末も、土曜と月曜が仕事なので、休みは日曜だけ、それも勉強会ででかけたので、ゆっくり休めてはいない。知恵熱出そう。でも、知り合いの先生からおもしろいデータをもらえたのはラッキー。ついでに128MBのメモリースティックももらってしまった。
そして今日は鏡開き。昨夜から煮始めた小豆を今朝仕上げて、助手にお汁粉を出してから出勤。朝から汁粉、それはちょっとすごいが、こういうことはできるときにやらないと、絶対できないしやらなくなってしまう。忙しいからこそ、節目はできるだけ大切にしたい。でも忙しくて自分は口にせず出勤。大好きなおしるこー。
今日はマルちゃんが私の母校の大学病院で診察・MRIを受ける日、朝から大学からの電話がいつくるかと、そわそわ。何しろ自分が手に負えなかった、薬ではコントロールできなかったものの答えが出るのだ。何より、あの状態で麻酔をかけてMRIを取れるか、それも心配である。
午後5時過ぎ、待っていた電話がきた。電話をくれた先生は私が大学1年生のとき、6年生だった外科の先生で、今では脳の下垂体腫瘍の手術を手がけることでは日本で有数の獣医師となっている。
先生によると、今日のMRIの結果、マルちゃんの下垂体には直径1.5cmの腫瘍があり、それがその上の間脳といわれる部分を圧迫しているので、今後意識障害がおこる恐れがあるらしい。だめでもともと、で手術することになるらしいのだが、飼い主さんが手術にかけてみたい、と強い希望をお持ちだそうで来週手術することになった。
薬では手に負えないはずである。病気の根源である脳下垂体に1.5cmもの大きさの腫瘍があっては、いくら薬で何とかしようとも、それ以上に異常なホルモン分泌があるのだ。1.5cm、それは小さいようでいて、体重8kgのマルちゃんの下垂体にとっては十分大きな腫瘍なのだ。
私の闘いは終わってしまった。あとは大学の先生にお任せするしかない。手術の成功と、病気の改善をただ祈るのみである。
ついでに、昨日愛川町は忙しく、おそらく年末から調子が悪かった18歳の犬の右前足の肘から先に200mlくらいの膿(アンビリーバボー!!)が貯まっているうえ心臓も悪い、栄養不良状態、というなかなか厳しい初診の患者さんがいたり、子宮蓄膿症だけれど心臓が悪くて手術に踏み切れないようなハスキーなんかがいたりして、田舎町の動物病院にしてはもりだくさんの状態であった。そこへもってきて、いつものリンパ腫のテリー君とケンちゃんの治療もあり、ひび先生大人気?である。この二人は同時期からリンパ腫の治療を始めたのだが、よく治療に反応しているので今はとても調子がいい。リンパ腫は血液系の腫瘍の中でも、抗がん剤によく反応するので、無治療なら3週間程度で死んでしまうものも、治療をすれば半年から1年、長いものでは2年近く生存することが可能となる。やっと半年たった。二人とも、じゃなくてそれぞれの飼い主さんたちも新年を迎えることができたことを本当に喜んでいらした。よかった。それが私の明日への力になる。自分の無力さが少しだけ救われるような気がする。
ちなみにこのテリー君、病院嫌いで病院の前まで来ると回れ右をして這うようにして逃げ出そうとする(ハックに似てるかも・・・)くらいだったのだが、この病気になって毎週私に会うたびにごほうびをあげ、アイコンタクトからおすわり、待てをやっていたら、なんと、今では病院の玄関は自分から入るし、診察室のドアが開くたびにまだかまだかとじりじりしているし、診察台のうえでは首の血管から採血しようが抗がん剤をうつために点滴の針を入れようが、まったく動じなくなった。おまけに、私の顔を見ると小さく舌なめずりまでする・・・・。昨日は採血しているところを飼い主さんに見せたら、飼い主さんが「信じられない!!」と驚いていた。リンパ腫になってしまった以上、残された時間には限りがある。その残された時間をできるだけ楽しんでもらいたくて始めたごほうびだったけど、テリー君はそれを楽しみに生き生きと病院にやってくる。病院嫌いな犬を毎週動物病院に引っ張ってくるより、病院を楽しみにしている犬のほうが、飼い主さんだって、治療が少しは苦にならなくなるんじゃないかと、思うんだけど、どうだろう。自分の犬ががんで、毎週通院しなくちゃいけなくてお金も1ヶ月に10万円くらいかかるとしたら?それだけでも大変なのに、犬が病院嫌いで毎回大騒ぎしていたら?
おまけに、最近知ったこと。テリー君の飼い主さんは私と同年代の女性なのだけれど、実は甲状腺に腫瘍があって、3月に手術をされるらしい。いつもにこやかにしていらっしゃるので、全く気づかなかった。そんな彼女の気持ちを、私は少しでも軽くしてあげることができているのだろうか。

いつもへらへらしている私だけれど、自分がにこにこしていないと、飼い主さんの気持ちもブルーにしてしまいそうで、できるだけ明るくしているように、心がけている。意外と神経質で考え込みやすい。でも、でも。私が暗くしていると周りも暗くなっちゃうから、愛川町での朝の挨拶はいつもこうだ。
「さー、今日はテンションあげてくよー!」「先生、今日も、でしょ。」・・そうそう、仕事は楽しく、スタッフも飼い主さんも動物も、みんなHAPPYにしないとね。
明日から大学病院も稼動、こっちでも頑張ろう。

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