Thursday, December 23, 2004

肩書き

昨日、買ったばかりの携帯電話を落としてしまった。気づいたのが今朝で、ものすごくあせったのだけれど、これを見越したかのようにデュアルネットワーク契約というのを月額300円で申し込んでおいてよかった。端末からの操作で今までの携帯movaが使えるのだ。とりあえず今までの携帯を使えるようにしたところで、同期の女の子から電話がきた。「携帯あったよー。」昨夜食事をした店で発見されたらしい。300円なんて安いものだとしみじみ思った。恥ずかしい・・・・。
ところで、人間は一般的に肩書きに弱いものだと思う。時によりつくづく思う。というか、思い知らされる。若く見えるのも損をしているような気がする。若いアルバイトの先生。どれくらいの人がそう思っているのだろう。
臨床獣医師の一般的なパターンとしては5年くらいどこかで代診や勤務医をしてから開業をするのが多いだろう。そうすると、私の年齢ではもう開業して7年目くらいの院長先生も当たり前に存在する。この間行ってきた同期の先生は29才で院長先生だ。
「院長先生」という肩書きは絶大だ。たとえ院長先生が10年前常識だった古い治療法をしていたところで、飼い主さんはあまり疑いの目を向けないだろう。しかし、週1回程度しかいない私にたまたま当たった飼い主さんは、最新の知識をもって治療にあたる私には、「本当に大丈夫なの?」という態度をあらわにすることも少なくない。「だって院長先生は・・」というのが彼らの常套文句だ。院長と名がつけば、なんでも信用するのかな。
あんまり詳しく書いていると、これを読む人の中には診察室でお会いする方もいるので、まずいかなとも思うのだけど、一応個人的な日記だから吐露しちゃおう。
世の中の開業している院長先生たちの中で、セミナーと名のつくものにきちんと行っている先生がどれだけいるものか。もしみんなが行っているのであれば、セミナーは満員御礼、ぎゅうぎゅうになるはずだ。でも、セミナーになんか来ない先生がたくさんいる。本当にたくさん。セミナーは若い先生たちだけのためのものではない。でも、若くない先生たちは少ない。休みの日ぐらい、のんびりしたいんだろう、院長先生は。そして不勉強になり、わからないことは適当にこねくりまわして大学にマル投げするようになる。でもそれでも院長先生なのだ。(飼い主さんから診療費取るなよー。)
そして、どんなに勉強しても、どんなに一生懸命治療しても、しょせん私は「非常勤の若い先生」でしかない。(それほど若くはないんだけどね)
その点、大田区の病院はそこにいる獣医師が私が最年長でだいたい30代前半、誰が出て行ってもみんな若い先生なので、あまり飼い主さんから差別されることもない。おかげで、管理のめんどうくさい難しい内分泌の病気はみんな最年長、いやキャリアの長い私のほうへと任されることが多くなる。
飼い主さんには、獣医師が何をしているのか、よっぽどのことがなければそれがよい治療なのか、よくない獣医療なのかわからない。院長先生という肩書きのついた、ヤブ医者だっているはずだ。適当な治療と説明で、飼い主さんから診療費を取っている、そんなヤブ医者にさえ、ただの非常勤獣医師の私は肩書きではかなわないのが、本当に悔しい。
肩書きは、ついてしかるべき人間についてこそ、だと思う。そんな私は診察室で年齢を聞かれたらひとつ年上にさば読むし、子供の話を出したりして、今日も必死に自分は若くないことをアピールしている。肩書きとの闘いは常に繰り広げられている。

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