Monday, September 12, 2005

休日出勤

動物病院に勤務していると、夏休みは真夏に取れないことが多い。たいてい、少しずつずらして各自が取る、というのが大半ではないだろうか。
そんなわけで、今日はいつも出勤している先生がお休みで、本院から助っ人を頼もうにもそちらも新人さんばかり、というわけで、急遽出勤することになったのは、昨日の午後の話。具合の悪そうなのがいるというのに、新人さんと2年目の先生では、ちょっと不安だなーという余計なおせっかいと、この先数ヶ月、学会で毎月休みを取ると収入が減る、という不安から、休みを犠牲にすることにした。
休みを取れば収入が減り、その休みに学会に参加すれば登録費と交通費でその倍以上飛ぶ。開業している獣医師と違って、研修医やアルバイト獣医師では、その費用は経費にはならない。全部自腹である。学会に行かなければ赤字にならないとわかっていても、学会やセミナーに行かなくなれば、古い治療しかできなくなる。それは、自分で自分が許せないので、休みを仕事に当てる。だって、休みがなくなるのと、ヤブ医者になるのと、どっちを選ぶと言われたら、休まなくても死なないけどヤブ医者になるくらいなら死ぬぞ、私は。そんなに立派な獣医師じゃないんだから、勉強して当たり前。
今日出勤してよかったー、と思うのは、昨日診察したときはごはんを食べ始めたよーと飼い主の女の子が喜んでいた、拾われて一週間の子猫が、昨日とうってかわってぐったりして朝一番に飛び込んできたこと。今年中学にあがった女の子は心配で落ち込んでいる。中途半端な干物みたいに、ぐったり、ぐんにゃりとしているので、思わず熱を測る前に点滴の針が入るだけの血管の太さがあるのか、確認してしまった。そのまま預かって、点滴を始めて、抗生物質も静脈注射で入れて、そして、ずっとろくに食べていないので、流動食を少量ずつ口に流し込んでやる。相当脱水していたので、水分が戻るだけで眼に力が戻ってくる。ああ、よかった。今日はちょっと意地になって治療してた。
ここ数年、すっかりおばさんモードなのか、女の子に弱い。「お母さんが心配してるんだろうな」とか視点はお母さん側なのだけど、特にこの女の子はうちの助手とかぶるので、何とか猫を元気にしてやりたいと思う。彼女の泣き顔は見たくないと思う。お母さんの年齢も私と近いので、余計そう思うのかもしれない。
途中点滴を流す量をまめに調節したり、流動食も、何回かにわけて少しずつ与え、お迎えに来る頃には昨日よりもいいくらいに、水分が入ってふっくらしていた。泣きそうな顔で迎えに来た女の子も、拍子抜けするくらい顔色がよくなった子猫を見て、にっこりした。ああ、よかった。

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