Wednesday, March 23, 2005

出発準備

金曜日の夕方の便でソウルに向かうため、今日は朝からその準備をしている。3泊4日、学会に参加する以外は観光の時間もまったくないので、たいした準備も必要ないように思われるのだが、観光で行くほうが準備が楽だと思う。何を着ていくか、だいたいいつもと同じでいいから。ところが、学会とそれに伴う接待?があるので、あまりカジュアルな格好をしていくわけにもいかない。数少ないフォーマルっぽいワードローブをとっかえひっかえ、何を着ていくのか、靴はどうするのか、頭を悩ませる。今頃のソウルの気温はどれくらい?あちこちのサイトで調べては、羽織ものを追加する。あと、何もって行くんだっけ?
昨日、仕事の帰りに横浜のヨドバシカメラでICレコーダーを買った。腫瘍科のラウンドのたびに、先生の言うことを書きとめきれず、買おう買おうと思っていたのだが、これがいい機会だ。日本語の対訳つきの獣医学講義なんて、この先何度行けるかわからない。電子辞書も欲しいなと思ったのだが、思ったより作りも中身も粗末な感じ。愛用の分厚い辞書をスーツケースにしのばせる。
観光の時間はない、と書いたが、実は密かに計画していることがある。土曜日の早朝、水産市場に行ってみようと思うのだ。どこかのサイトで見たら、水産市場が近くにあり、韓国海苔が安いと書いてあった。助手がおみやげにリクエストしたのが韓国海苔なのである。こうなれば、買出しのアジュマ(おばさん)よろしくスーツケースいっぱいに買ってこようではないか。

しかし、私の浮かれ気分を押しつぶすように、領土問題で対日感情が悪化している。ひょっとすると、日本人の対韓感情も悪化しているのかもしれないが、冬ソナファンの方々はあまり関係ないのか、女性週刊誌の表紙を見る限りでは、おかまいなしのようだ。
それでもやはり自分の母国が悪く言われたり、国旗を燃やされたり、デモのプラカードに書いてあることを見るにつけ、フクザツな気分になる。
私は韓国語を独学で勉強している。韓国料理も好きだし、カラオケで韓国の歌も歌う。バンコク時代の韓国人の友人たちのことも好きだし、自分の性格は日本人よりも韓国人に近いような気すらすることがある。喜怒哀楽がはっきりしている、東洋のラテン系といえば、韓国人か私か、と言う具合に。
それでも自分は日本に生まれ日本人の両親をもち、日本の文化にどっぷりつかって育った日本人だ。そこのところは忘れてはいない。
では、竹島(独島)はどちらの領土なのか?
それは私の判断するところではない。私の判断は私自身の個人的な意見に過ぎず、それが正当かどうかは評価のしようがないからだ。もし、どこかでそう聞かれたなら「歴史の勉強不足なので答えられません」と言うだろう。実際、ほとんどの日本人がそうなのではないだろうか?
ひょっとすると、竹島(独島)は日本の領土なのかもしれない。(そうではないのかもしれない、と一応つけくわえておく?)でも、対日感情をこれだけ悪化させているのは、単純に領土うんぬんの話だけではない。
日韓に横たわる長い歴史の中で、日本が朝鮮半島に対してしてきたこと、それは限られた期間のことだけかもしれないし、国民のほとんどが戦後生まれとなってきた現代では、見に覚えのないことなのかもしれないが、したほうは覚えていなくてもされたほうの記憶はいまだ消えることはないのである。
バンコクの、アソーク駅の近くにあるタイムズスクエアの一角に韓国ビデオのレンタルがある。そこのおばあさんは長い話をしたことはないが、日本語を話すのだ。それ以外にも、高齢の朝鮮半島出身者の中には今でも流暢な日本語を話す人が少なくない。朝鮮半島支配のために日本語を強制すること、それが日本のしたことだ。もちろんそれだけではない。
このブログは歴史問題をうんぬんするつもりはないので、それ以上のことは書かないけれど、日本が何かして対日感情が悪化したりあちこちで突き上げをくらうのは、日本がしてきたことのせいだ、ということを忘れることはできない。
そのうえ、国民性というか気質の違いがあるから、日本人にとっては過激にうつることかもしれないが、彼らからしたら原爆を落とされたのに水に流したかのような日本人のほうがよっぽど奇異にうつっている。日本人には日本人というアイデンティティーがあるのか、と思うらしい。確かに、若い人はパールハーバーに抵抗ないみたいだし。
バンコクの韓国人の友人たちも、日本が過去にしてきたことは学校でよく学んでいるし社会全体がそれを忘れないようにと促している。それでも、必要以上に日本人を悪く言うことはなかったし私にも助手にも親切だった。king&Iの社長さんともおつきあいがあったが、あるとき、聞いたことがあった。
「歴史の中で日本は韓国に対していろいろなことをしてきた。それなのにみなさん親切にしてくれる。なぜだろう。」と。社長はきれいな英語で答えてくれた。
「過去のことは忘れることはできません。でも、それを認識して乗り越えて新しい歴史を作っていくのが私たちの世代なのです。日本人が嫌いなのではない。」
今は乗り越える時なのだろうか。あとどれくらいたったら、その過去を乗り越えきれるのだろうか。
今回の竹島問題を一言で言うならば、「残念」ということかな。
ニュースにうつる映像を見て不愉快に思われる方も多いかもしれないが、それはあなたが生まれた日本の人たちがしてきたことの結果なのだと、少しだけ思って、テレビを消して欲しい。日本人の性格もいろいろなら、世界の人々の気質もいろいろだ、ということで。

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