Wednesday, April 06, 2005

今日もDM

4月である。今日の暖かさで厚木周辺の桜も5分から7分くらい咲いている。学校は新学年、新学期。新社会人は、おいおいスーツが浮いてるよ。もう社会に出て十数年、気分くらいはパリッといきたいものである。助手も3年生になった。また大きくなって、半年前のジャンパーがもう着られない。
ところで、今年の桜はどんなに満開になろうと、私にとってその美しさは半分くらいしかない。もう以前書いたとおり、試験に落ちたあとの桜なんか全く綺麗じゃないのだ。できれば雨でも降ってとっとと散ってしまってほしいくらいだ。これが合格していたら、この後1年間が違うものになっていただろう。桜もさぞかし目にしみることだろう。調子にのってやりたいことばかりしているからだろうか、神様のげんこつでも食らった気分だ。

いよいよ明日から大学の診療が始まる。本当は水曜日からなのだが、水曜日は手術日で今週は手術がないため休みとなった。貴重な貴重な、春休み最後の1日である。市役所行かなくちゃ、あと銀行行かなくちゃ、と朝から「やることリスト」を書いて時間の配分を決める。そして、バイクのエンジンをかけ一路愛川町へ。あれれ、市役所はそっちじゃないよーと思われる方がいるかどうかはわからないが、市役所は5時まであいている、銀行もまだまだ大丈夫。それよりも先に行かなければ行けないのは、プーちゃんの待つ動物病院だ。1日中血糖値とにらめっこしていたのはおとといだが、それだけで治るような簡単な病気ではなく、昨日も今日もプーちゃんは病院で1日中点滴を受けながら血糖値のコントロールを受けている。昨日は血糖値が52mg/dlまで下がってしまったらしい。いくら糖尿病だからといっても治療のために血糖値を下げればよいというものではない。適正な血糖値というものがあるので、それはいくらなんでも下がりすぎである。
今日も朝一番から来ているはずだ。その血糖値いかんで今日の治療方針が決まっていくので、行く前にメールをして今日の検査の指示を出しておいた。
ところが行ってびっくり、今日は誰もメールを見ておらず、私の指示など誰も知らなかったのである。もー、意味ないじゃん!!しかも、貧血があるからといって点滴をしていない。貧血も大変だけど、脱水も大変なんだよー、そこのところさじ加減して入れなきゃダメじゃーん。ため息つきつつ、この先の指示を出す。休みの日まで出てきてしゃしゃり出るのも、迷惑かもしれないけどさ、ほっとけないんだよね、この状態じゃ。プーちゃんの今の状態は、あと何歩か踏み込んだらめじろちゃんと同じことになるくらい、いい状態ではない。糖尿病で食欲なくて、なんて最低だ。坂道をころがる音が聞える気がするくらいだ。
血糖値さえ下がれば、プーちゃんは食べ始めることはおとといわかった。今日は朝自宅でいつものインスリンをうってきているので、とりあえず血糖値の下降を見守る。250を切る頃から食べ始めるはずだ。しかし、今日はw/dを食べない。腎臓が悪い猫用の流動食のパウダーを溶いたものも今日は口をつけない。悪化してしまったのだろうか。
病気の治療で大切なことは、検査の結果が正常範囲になることだけではない。数字だけではだめなのだ。動物をできるだけ元の状態に戻すこと、生活できるようにすること、それができなければいくら血糖値が正常範囲にあっても状態がよいとはいえない。今日はだめかなー、やっぱりうまく治療できてないのかなー。
「何でもいいから、何か食べそうなものあげてくれる?」最近愛川町に常勤の先生(通称:青年)に声をかける。「a/dですか?m/dのほうがいいですか?」いやー、こんな状態のときに処方食を食べるとは思えないんだけどねー、若者は教科書どおりの答えしか出てこない。「いや、何でもいい、食べそうなもの、普通の猫缶でもいいからとにかく少し口にいれさせないと。」
出てきたのはマグロ&カニカマの小さい缶。それを少量、青年がおそるおそるプーちゃんの口元に運ぶと・・・少しだけ匂いをかいだ後、プーちゃんはスプーンごと喰らう勢いで食べ始めたのである。もちろん、治療食としてカニカマがいいとは言わないが、食べないよりは食べたほうがいい、ぎりぎりの選択である。まだまだ血糖値のコントロールはできていなくとも、食欲があるというのは治療として一歩前進したと考えられよう。
あとは、貧血。実はプーちゃんはFIV(猫免疫不全ウイルス)に感染していることが以前からわかっている。栄養状態もよくないうえに骨髄を抑制するウイルスに感染しているのだから、貧血はあっても不思議ではない。そしてその分治療に対して負の要素が加わっていくのだ。
結局昼過ぎから市役所と銀行に行き、夕方から愛川町に戻って、表やグラフを作って治療の戦略をたてていた。作用時間の短いと思われる今のインスリンと短時間型のインスリンを組み合わせて、月曜日までなんとかコントロールさせていかなくちゃいけない。月曜日には超長時間型のインスリン製剤を使う予定なのだ。それまでなんとか、脱水だけでも改善させておいてほしい。明日もあさっても、ちゃんとコントロールができて食べて水も飲むようになるまで、プーちゃんは点滴にくる。
毎日通えばそれだけお金がかかる。ちゃんと治療しようと思えば検査費用もかさむ。「ちょっと今プーちゃんがこういう状態なので、費用もかかってしまうんですけど」と言ったら「それは、糖尿病にかかったときから覚悟していましたから。」とこともなげにお姉さんが言う。前にかかっていた病院にも毎週毎週、検査に行っていたし、こちらの検査の指示をちゃんと守ってくれるエライお姉さんである。
今夜のインスリンを注射する時間をいつもより少し遅めにしてもらう。そして、その量もいつもの半分だ。こちらで血糖値を少し下げてあるのでいつもの量で注射したら、低血糖で倒れてしまうかもしれない。そして、いつもより遅くすることで、明日の朝病院に来るまでの血糖値が、今日ほど高くはならないはずだ。
肝心なのは、その後どう治療していくのか。一応青年に指示は出してきたが、実は内心すごく不安。インスリンの量とかも気になるけど、何よりも体重を測ったり、皮膚をつまんで脱水の状態を見たり、ということを今日彼は怠っていたのだ。忙しかったのはわかるけど、忙しいからといって省略してはだめだよ。それは動物の生きている状態のバロメーターなんだからね。と、できるだけドスをきかせないように注意する。
明日は大学だから、細かい指示を出すことができない。青年よ、あとは任せた、と言いたいところだが後で、明日の指示をもう一度出しておこう。口うるさいといわれても結構。できるだけのことを、してあげたいのだから、仕方ない。今日はボランティア出勤なのだが、院長先生が動物薬メーカーからもらった心臓の聴診のCD-ROMをくれた。ちょっとラッキー。

ところで、今日から春の交通安全週間だ。今日はあちこちにパトカーや白バイがいた。あぶない、あぶない。あ、そういえば、バイクのオイル交換しなくちゃいけなかった・・・・。ああ、当分時間ないよー。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home