Monday, July 24, 2006

夜中のひとりごと

開業計画は、コンサルタントについてちょっと調べてよさそげな土地を見て回って国民金融公庫のパンフレットをもらってきたところで止まっている。こんなの は勢いが大事だとみなに言われるけれど、勢いだけで本当に行っちゃっていいのだろうか。たいていのことはどこかで修正がきくだろうけど、死ぬまで後悔しそ うな何かもある。それでも近いうちに思い切りをつけなくてはいけないのだろう。多分、今年中に開業計画を進行しないとこのまま開業のチャンスを逃してしま う。焦りとうらはらに決着をつけることから逃げている自分がいる。

それでも開業をしたいと思う。自分自身を100%生かせるといえる場所で獣医をしていたい。今まで勉強してきたことを確実に役立てる場所で、自分自身を必 要としている場所で、自分ができることをすべて出し尽くしていきたい。もしも横須賀にずっといたなら、開業しようとは思わなかった。あの病院で、楽しく仕 事をしていればそれで幸せだった。あの頃のあの病院は、同じような時期に出産をしたスタッフが何人もいて、ほかのスタッフも快くそれを受け入れてくれて、 院長先生も理解のある方だったので、仕事と母親をなんとか両立することができた。楽しかった。
バンコクから帰ったとき、その病院では獣医師がたくさんいたので、私は新しい職場を探すことになった。業界雑誌の求人欄を見て決めたその病院は、閑静な住 宅街にある勉強熱心な女性院長の病院だった。確かに、勉強にはなった。でもその代わり自分の時間と獣医師としての価値は磨り減っていった。「先生はお子さ んがいるからパートね」と言われたけど、週に3回くらいは終電の1本前に間に合うかどうかで、時間外手当などはまったくつかなかった。人間的に尊敬できな い人のもとで仕事をするのにだんだん悲しくなってきて、辞めよう辞めようと思っても、なかなか踏ん切りがつかなくて、会津若松のれいちゃんに会いに行っ て、仕事は楽しくやるものだと思い出してやっと辞める気になった。
あのとき、決めたのだ。開業しようと。誰かのわがままに振り回されてまで雇われることはないのだ。

開業したら、子供の授業参観に行くために院長先生に頭を下げ周囲のスタッフに頭を下げて仕事を休まなくてもいい。母親が母親らしいことをするために社会人として周囲に迷惑をかけている罪悪感に悩むことから救われるだろう。
開業したら、新しい薬を入れてもらうためにたくさんの資料をそろえて院長先生を説得しなくてもいい。
開業したら、電車を4本も乗り継いで仕事に行かなくていい。
開業したら、もっと必死にならなくちゃいけないけど、それは誰のためでもない。

正直ちょっとこわい。開業しても誰も来ないかもしれないし、細々とやっていかなくちゃいけないのかもしれない。埼玉県で開業した同級生の病院の年商は2億 円だと聞いた。同じスタートだったのに、とてもじゃないけど追いつけない。そんなところの近くでは開業できないなあ。この間、その同級生のところで分院を 作ったら、分院長をやるかと聞かれたけど、断った。とても勉強熱心で、一緒に頑張るのも悪くないけど、私と一緒に頑張るのは私の家族だ。
名古屋の先輩は、お父様の作った病院の分院を任されているけれど、「いい獣医師といい家庭人は両立できない」と嘆いていた。そんなの女性獣医師だけが悩ん でいるのかと思ったけれど、できるだけの獣医療を提供しようと思うと、獣医師の労働条件は人間の医師以上に悪い。おまけに収入は人間の医者の何分の一以下 だ。

そんな先の話より、開業の場所を決めることと資金の都合をつけること、それが先だ。たったそれだけなのに、躊躇している。私のわがままを、諦めなければいけないのだろうか。

Sunday, July 23, 2006

求む、続編

最近職場でスタッフ一同を虜にしているもの、それは「風とともに去りぬ」のコミック文庫である。そこそこの厚さの文庫で4冊あるので、読みきるのにはかな り時間がかかるのだが、昼休みともなれば真剣に読み進めるスタッフの姿が必ずある。私は、といえば、あっというまに読み終わってしまった。2度ほど映画を 見ていたせいもあるのだが、おおよそのストーリーや登場人物についての知識があるためそれほど時間はかからない。
「風とともに去りぬ」といえば、ほとんど親の世代の名作である。映画館で見れば約4時間、途中で休憩が入る超大作。ご多分にもれず私の母も懐かしがる映画 であることは言うまでもない。私が初めて見たのは20歳前後のときで、25歳くらいのときはビデオで見た。ひさしぶりに読むと若いころとは自分の見方がず いぶん違う。どうしてスカーレットがこんなに素直ではないのか、というのも気に障る。素直でないのは自分だけでたくさんだ。
ところで、このあと何もかも失ったスカーレットはどうなったのだろう?物語はめでたしめでたし、では終わらなかった。人生もめでたしめでたし、ではないよ うに、スカーレットのその後が知りたい。どーしても知りたい。確か、マーガレットミッチェルの遺族の依頼で書かれた続編があったはずだ。
仕事帰りの書店で探しても見つからず、amazon.co.jpで探すと、もう新品は手に入らないらしい。中古でもいいから、どーしても読みたい。そこで 注文することにした。本の代金は45円、送料が340円、なんとなく納得いかないような気もするけど、これ以上自分の足を使って探し回る時間と気力はあん まりないので手を打つことにした。とにかく、早く続きを読みたい。

ところでスカーレットにはタラが残された。私には何が残されるのかな。

Monday, July 17, 2006

翔ちゃん入院

2週間前、翔ちゃんの皮膚にできた肥満細胞腫手術で切除した。母はいつも「翔ちゃんは小さい」と言っているけれど、翔ちゃんの皮下脂肪は相当厚みがあったので、深さ方向の余白である腫瘍の裏側のマージン(正常組織との境界)を皮下脂肪だけで十分まかなえてしまった。小さいと思っているのは母の錯覚というか思い込みに過ぎない。
手術で取った腫瘍の病理組織検査の結果も、十分切除されているということで、再び平穏な日常に戻れるはずだったのに、なんと私が週末の大阪の学会に行っている間に翔ちゃんは入院してしまった。
・・・・なんでだ?手術はばっちり、縫合部位もとってもきれい、血液検査も問題なかったのに。学会が終わり急いで愛川の病院に電話を入れて状況を聞く。いくつかの検査を指示して新幹線に乗るが、気が気でない。なんでこんな肝心なときに、私はいないのだろう。
今日、愛川の病院に行くと、ステンレスケージの中で点滴を受ける翔ちゃんは、17歳という年齢相応に老けて見えた。普段は私に触らせたりしないくせに、気が弱くなっているのかおとなしくなでられている。ごはんは食べたみたいだけど、消化しかけたまま吐いてしまったようだ。
昨日の血液検査の結果をうけて、再度検査をしてみる。気になっていたリンの高値は正常に戻っている。ほかもまあまあ、というところ。あとは吐かなければ家に帰れるけど、気になるのは体重が2週間前より400グラムも減っていることだ。
たった2週間で1割近く体重が減るのは、脱水があったとしてもちょっと減りすぎな気がする。気になるので甲状腺ホルモンの検査もすることにした。これは外注検査なので2週間くらい結果が出るまで時間がかかる。
なんとなく元気のない翔ちゃんが、くったりと私によりかかるのは明らかにおかしい、と思う飼い主目線な私。今日はそのまま入院。自分で見ていたいけど、仕方なし。DANJI、頼んだよ。