Monday, August 29, 2005

スライド手直し中

ダメだしをくらったスライドの手直しは少しずつ、なんとか形になってきている。やりながら思うのだけれど、これってやっぱり場数をふまないとダメなのかな、ということ。いろんなタイプの発表を見たり自分で作って発表したり、ただ見ているだけではなく、その骨組みの作り方をよーく考えないとできない。でも逆に、ある一定のパターンさえ見出せば実はそんなに難しいことではないのではないか?
医学論文の書き方や読み方という本がけっこうたくさん出版されているのは、それがやっぱりそんなに簡単なことではなくて、基本的な骨組みの作り方にはそのための思考回路が必要だからなんだろう。まだまだ思考回路が一般獣医師な私なのだな。はあ。
大学の研修医は年1回以上の学会発表か論文発表を義務付けられているが、腫瘍科の予演会はなかなか緊張ものである。私に限らず、ほとんどの研修医が何らかの手直しをするように言われている。カンペキな人などいないのだ。さすがに、何年か在籍すると要領がわかってくるのでひどいことにはならないようだが。
毎日毎日、頭から小難しいことが離れないので疲れてきた。今週水曜日にスライドをボスに見せたら、週末はのんびりしよう。人ごみも避けよう。できるだけ、頭を使わないで過ごそう。でもって、今日はもう寝よう。
明日はテリー君の来る、愛川町の動物病院の日だ。リンパ腫の細胞を愛するなんてできるかなあ。h

Friday, August 26, 2005

予演会

昨日大学で絞られた。
私が在籍している大学の腫瘍科では、学会発表が近づいてくると「予演会」というのを行う。1日の業務が終わったところで、全員の前でそのスライドを使って発表の練習をし、スライドのおかしいところを指摘してもらう、というと聞えは悪くないかもしれないけれど、出来が悪ければほぼつるし上げ状態である。もしくは蜂の巣。四方八方から鋭い突っ込みや批判が相次ぐと、当分人前に立つのが怖くなる、という先輩もいる。本番には強いと定評のある私でさえ、昨年の予演会はものすごく緊張した。
今年の発表は昨年の1例だけの症例報告ではなく、6例を使って治療方法の検証を行うというものだ。どういうふうにまとめたものか、結局まとまりの悪いままスライドを作り上げて、自分でもいまいちだな、と思ってはいた。しょっぱなからボスにダメだしをくらったので、蜂の巣に至る前にタオルが投げ込まれたような状態になった。
ああ、私ってダメじゃん。しょぼん。やっぱり頭悪いのかな。
しかし、どんぞこまで落ち込まなかったのは、ダメだしを出したボスが「ひびちゃんはオーベン(マンツーマンで面倒を見てくれる先輩研修医)いなくて一人でやってんだろ?じゃあ、わかんなかったら俺のところに来い」と自ら面倒見てやる宣言をしてくれたからだ。でき悪いからほっとけないのかもしれないが、もし完全に相手にされていないのであれば、ボスは自ら手を出すことはなく、他の先輩研修医が私の面倒をみる羽目になるのだ。まだまだ見込みあるのかも?単純だからすぐ頑張ろうという気持ちになる。

実は昨日はこれだけでなく、初診症例の報告を、やはりこれも全員の前に出て行うのだが、そのときも大阪のOBの先生から質問が入った。「猫の子宮腺癌は子宮蓄膿症と同じ症状ですか?」「猫の子宮腺癌の特徴は?」・・・・そのOBの先生はもちろんご存知のうえで質問してきている。つまり、私がわかっているのかどうか、ということを問うてきているのだ。で、またしどろもどろになってしまった私に助け舟を出してくれたのは、なんとボスであった。今日のボスは優しいなあ、なんて思ってたら最後に「猫の子宮腺癌について、ひびちゃん、わかってないんだから宿題セミナーな」とおまけがついたけど。
ひえー、学会発表のスライドもあるのにー。

そして、今日、その二つに加えてほかにもいろいろやることがあるので、やることのリストを作るだけでも時間がかかった。やりながら、昨日絞られたココロの疲れがなかなか取れなかったので、帰り道蒲田で花を買った。大好きな白いカラーと赤いグラジオラス。強い気持ちとやる気を引き出してくれるような気がする。
そして、最近すっかりはまっている「ドラゴン桜」を見て、桜木先生の言葉にふむふむとうなづく。そうだ、私は結果を出さなきゃいけないんだ。来週はリベンジだ!!

Tuesday, August 23, 2005

リンパ腫再燃

テリー君のリンパ腫が再燃した。再燃、というのは抗がん剤で姿を潜めていたリンパ腫がまたどこかに現れること、と思っていただいて大体合っている。つまり、一般的に再発、とか言われていることがリンパ腫では再燃というのだ。
昨年、治療を開始したときはすでに体の表面から触れるリンパ節がすべて大きくなっている状態で、食欲も元気もちょっと落ちているという状態だった。それが抗がん治療によく反応して、現在は体重は逆に増え元気も大変よろしい。
この再燃の日に備えて、抗がん剤はある時点から中止している。それでもテリー君はとても調子がよかったし病院に来ると私の姿を見るやヒューンヒューンと耳を伏せてしっぽをブンブンと振って楽しそうだった。あまりにも調子がよいので、私はこのまま再燃などなく過ごせたらいいな、と思っていた。でも、リンパ腫からは逃げられない。そして、再燃した場合、抗がん剤が効いている時間が前回の抗がん治療のときよりも短くなる、といわれている。
テリー君の右ひざの後ろにあるリンパ節を触って、念のためといって注射針を刺して細胞を採り、染色液に浸して顕微鏡で見る。標本には脂肪と思われる脂っぽいあとがついたから、単なる脂肪だったらいいなと思いながら顕微鏡をのぞく。それは自分自身の中で「リンパ腫再燃」ということをどうにかして打ち消したい、儚い抵抗でしかないこともわかっている。うずらの卵よりも一回り大きいリンパ節から細胞を採ってくることを失敗するような私ではない、ということは目の前のレンズの下の細胞がリンパ腫だろうということは、ほぼ間違いないのだろう。それでも、私は自分で確定するのを避けてしまう。
通常の検査同様、取れた細胞を標本にして、検査ラボに送ることにする。その検査ラボで細胞を診断しているのは大学時代の同級生で、今では日本でも有数の細胞診断医として名が知れ渡っている。彼の診断なら間違いないと、日本で唯一の米国腫瘍内科医も言うくらいだ。彼を名指しで標本を送ると、お友達特典とでも呼ぼうか、普通に診断結果が送られてくるよりも2日ほど早く、メールで知らせてくれるのだ。もちろん、追加料金はない。(たまに鰻でもおごれと言われるが)
とうとう再燃してしまった。ショックでためいきばかりが出る。昨夜のうちに、その診断医にメールを送って標本を送ったことを連絡した。「多分リンパ腫の再燃だと思うけど」と書いたら、まだ見てもいないのに「再燃や」と返事をよこす。なんでわかるのかと返したら「見なくてもわかる」とか言う。おいおい、新手の心霊療法か?私が可愛がっている犬だからショックだと書いたら「リンパ腫の細胞もその犬の一部だから同じように可愛がってやらんと」と書く。えー、リンパ腫のせいで命が縮むのに?「リンパ腫の細胞も可愛がってやればいうことをきく」・・・・本当か?
本当かどうかは、わからないけれど、確かに、周りの人間がネガティブな気持ちで接していたらそれは犬にも伝染して、決してよい方向にはならないだろう。そして、おととい学会で聴いたリンパ腫のレクチャーで「B細胞性リンパ腫の場合、まず1年の生存を目標にする。1年が経過したら、今度は2年を目標に頑張る」と大学時代の恩師が話していた。そうだ、だめでもともと、再燃は想定内の出来事に過ぎない。
2週間ごとだった診察がまた毎週になるだろう。飼い主さんはちょっと大変かもしれないけれど、テリー君は私に会いに来る。私はテリー君が元気に会いに来てくれる日が1日でも長くなるように、頭ひねって頑張ろう。リンパ腫と闘うのではなく、リンパ腫と共存して生きるのだ。

Saturday, August 20, 2005

Jasmine's DayOff

しばらく日記を書けずにいたので、またまたJasmineがさぼっているなと、思われているのかもしれない。昔ながらの自分だけの日記だったらいくらでも書くことはあるのだけれど、ブログは誰がどう読むかわからない、という不安があるので、何でもかんでも書くことができないし、思い立ったときに書けないということもある。2つの職場ではどちらもインターネット環境があるのでネットに入ることはできるのだが(ヘンな日本語?)、どちらのPCからもブログに書き込むことができない。2つのPCに共通するのは「どちらもiMac」ということだ。MacOSではこのブログに書き込めないのかな?どうしても文字が化けてしまって、どうにもならない。あちこちいじってみたけど、変化なし。すっかりお手上げであきらめてしまったけど、実はこの職場の昼休みに書き込めたら、もう少しブログらしくもなりそうなのだ。誰か、知っている人、詳しい人がいたらぜひ教えて欲しい!でも私の周りでBlogger使っている人がほとんどいないので、当分謎のままになりそうです。

普段、お盆休みがないのでこんな時期にでかけることはないのだけれど、大学病院がお盆休みになったため、水曜日に愛知万博に行ってきた。甥っ子が「どーしても行きたい!!」と母にねだったため、母は甥っ子とうちの助手を連れて、なんと日帰り旅行を計画。しかし、母は地理にうとい。電車の乗り継ぎにもうとい。どこかに出かけても、そこで何をどうしたものかを考えられない。昔から「お姫様」のように周囲に扱われてきたため、自分では計画を立てるのが苦手なので、こんなときこそ娘の出番と思っている。この数年、私がアルバイト獣医師をしながら大学病院で研修医をするという忙しい生活をしていられるのも、母の助けがあってこそだし、助手ともゆっくり遊ぶ時間がない。学会発表のスライド作りも締め切りが押し迫っているのだが、そういうことは心の片隅に無理やり押し込んで行くことにした。本当はものすごくあせっているのだけれど、1日くらいどこかで帳尻を合わせられるかもしれないし。(強気?)
朝7時13分新横浜発ののぞみで名古屋へ。そこまではまったく問題ない。そのあと、万博会場までの交通機関で、普段見慣れない人ごみやら自動券売機の長蛇の列に圧倒され、会場につく頃には体力30%ダウン。これじゃ会場に入る前に子供が熱射病になってしまいそう。
会場に入る頃にはどこのパビリオンも当日予約もいっぱい、人気のパビリオンはこれまた長蛇の列。甥っ子お目当てのマンモスもいっぱい。結局グローバルゾーンと名づけられた世界各国のパビリオンを見て回ることに。しかし、これが意外と楽しかった。
近いところで興味のあるところ、ちょうど東アジアと中央アジアのゾーンが目の前だったのでここからスタートした。パキスタン、ネパール、ウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、あとなんだっけ?中国は見たけど韓国はパス。驚いちゃったのがカザフスタンのところに飾られていた宇宙服。すっかり忘れていたけれど、このへんは「ソヴィエト連邦共和国」だったのだ。ああ、そういえばそんな国の名前があった。でも、カザフスタンはアジアだけど、ロシアはアジアになかった。ソ連はロシアにアジアをねじ込んだ、そんな国だったのかな?ウズベキスタンのところで携帯に絵を描いてもらった。(¥2000)私の携帯はすっかり傷だらけになっているので、よく街で見かけるデコレーションでもしようかシールでも貼ろうかと思案していたのだが、ウズベキスタンのところで売られていた細密な絵が描かれた小物を見て、決めた。これはなかなかないぞ。
待つこと8分くらい。片言の日本語を話す職人さんが、私のライムグリーンの携帯にオレンジ色の花を描いてくれた。その上から透明のマニキュアでカバーしてできあがり。すてきー。^^v
すっかりお気に入り、はげないように丁寧に丁寧に扱うように心がけよう。
その次は東南アジア・オセアニアゾーン。もうおわかりですね、タイもラオスもフィリピンも入っています。つい懐かしくて足が向いてしまいます。ラオスのところでは「ビアラオ」が!!飲んじゃうぞ、もー。ラープが全然辛くなくてがっかりだー。
そんな感じで1日仕事もスライドも忘れて過ごし、暑さで体力を奪われたものの満ち足りた気分。
混雑を予想して少し早めに会場を後にしたら、今度は名古屋駅で時間が余ってしまった。そこで食事の後、お茶をしようとことになったのだが、甥っ子と助手を連れてうろうろしたくなかったので、ほとんど駅直結の高島屋に入り込む。エスカレーター横のフロアガイドをざっと見て、目的地を即決。4階の「糖朝」だ!!ここでも母は私の決断力と行動力に頼りっきりなので、独断で直行。
私の記憶が正しければ、糖朝というのは香港にあるスイーツ屋さんだ。クーロン側、それもクーロンの西側のほうにあったと思う。あったかいお豆腐に黒蜜かけたやつとか、そんなイメージが強いが、それと同じ名前の店があるとあっては、行かずにいられない。そしてその店は本当に糖朝だった!(日本語崩壊?)こんなところで、黒ゴマの汁粉が食べられるなんてー。血糖値一気に上昇、疲れが和らぐ。名古屋って素敵。
名古屋からの帰りは新横浜までひかり、横浜線、小田急線と乗り継いで帰宅。いやー、疲れた、でも助手もここまでよく寝ないで頑張った。もう今夜はスライドなんか忘れて寝てしまおう。
久しぶりの夏休み気分、つけは週末に・・・・。

Saturday, August 06, 2005

学会参加服

いつの間にか8月になってしまった。あいたたた、まだ学会発表のスライドができてないよ。先週、大学に行ったときに必要な画像を集めるのを忘れてしまった。仕方ないから、流れにそって、おおまかなスライドだけ作っておこう。
この先毎月何かしら学会がある。今月は昨年、大学の内科系教授が中心になって発足した内科学アカデミーというのがあり、なかなか内科だけのわりにはこってりした内容だ。もともと内分泌とか内科系の方が好きだった私には楽しみなのだが、大学関係者が中心なのでちょっと重たい感じがする。獣医大学の教育改革が叫ばれて久しいのだが、それよりも卒後教育の充実が先になってしまった。卒後教育となると、参加不参加はそれぞれの獣医師の任意となるため、まったく参加しない、その日はゴルフだなどとのたまう大先生もいらっしゃる。
来月は私の発表の場、大学時代の恩師が代表を務める日本獣医臨床フォーラムの年次大会で、こちらはHAB=ヒューマンアニマルボンド、つまり人と動物の絆を中心にしているので、一般市民や獣医師以外の参加もウェルカムである。若い女性動物看護士の参加も多いので、なんとなく華やかな雰囲気がある。昨年は阿川泰子さんのトークショーがあったし、おととしにはお忍びで雅子様もいらしたりしたのだ。もちろん、お忍びでいらしたので、私が知ったのはお帰りになった後だった。大学時代の友人が臨床フォーラムの幹事の一人なのだが、それはトップシークレットだったとか。
11月には大阪で、西日本最大の学会がある。私が日頃面倒をみることになっている後輩研修医がここで発表することになっているので、私も保護者よろしく大阪入りしなければならない。この学会もなかなか規模が大きいのだが、プロシーディングが3冊にも分かれていてとにかく重い。重い上に高い。1冊捨ててしまおうかと思うのだが、お財布が軽くなったことを思うととてもそんな勇気は出ない。
学会に参加、となると、困るのが着ていく服だ。男性のようにスーツを着ればそれなりに形になってしまうのなら楽だと思うが、女性はスーツなど日頃着慣れていないので、若い先生はリクルートの女学生のようになってしまうし、私などは授業参観か入学式のお母さんだ。かといって、学会にジーパンで参加するなんて学生みたいなことはもちろんできない。毎回困って毎回同じような服を着ているのが現実だったりする。ああ、もう少しおしゃれなスーツ姿になれないかな。